君と見上げた空【完】

幸せもつかの間…

「行ってきます」

私は重い足取りで学校に向かった。

学校が近づくにつれ、手足が震え出す。

怖い、怖い、怖い、怖い…

私はその感情しかなかった。

そんなとき、


「蝶、おはよ」

そう言って肩を叩かれた。

ビクッとして振り向くと


「空…」

空がいた。

私は空を見た瞬間、手足の震えが少し
止まった。


「蝶、学校行こっか」


「うん」


空は私の手をヒョイっとすくって
自然に手を繋いだ。

私はそれが嬉しくて自然とえみが
溢れてきた。…でも、こんなのおか
しいよね、付き合ってるわけでも
ないのに。

私はそう思い、空に聞いてみることに
した。


「空、空はさ…す…好きな人とか
 いないの?」


私が思い切ってそう言うと、
空はニコッと笑って

「いるよ」


「そ…そうなんだ」


そう答えた。でも、臆病は私には
それが誰かを聞くことは出来なかった。


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