教壇と愛の狭間で~誰も知らない物語~
第二一楽章 2人だけの誓い
-翌朝-


遠くから歌が聞こえてくる。


ドラムとギターがやたらにやかましい歌だ。


あっ、そうか。


これはケータイのアラームだ。


靄のかかった頭でそれを止める。


あくびがひとつ。


ああ、眠い。


あんな衝撃的なことがあったから眠れたものじゃない。


沙奈さんの先生に対する嫉妬心。


そしてそれは金と権力で先生を陥れるまでに至った。


それによって、先生とあたしは教育実習期間が終わったら別れなくてはならなくなってしまった。


そんなことを知った夜にどうしてぐっすりと眠れるだろうか。


いや、眠れるわけがない。


寝不足は低血圧のあたしにはこたえる。


少しでも気を抜くと寝てしまいそうだ。


もう少し眠りの世界に滞在していたい気持ちを抑えて、制服に着替える。


実は今週から夏服。


水色のワイシャツと紺のライン入りの青いリボンは変わらないけど、スカートは違う。


3種類の中から選べるのだ。


本当はワイシャツやリボンも選べたけどこれは冬服と統一しておいた。


あたしはモスグリーンのタータンチェックのスカートを履いた。


鏡に映るあたしはどこからどう見ても普通の女子高生。


そう。


先生と一緒になれない悲しみを秘め、普通を装った女子高生だ。
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