教壇と愛の狭間で~誰も知らない物語~
あたしは混乱してるけど、翔君は相変わらず冷静な表情だ。


「水香ちゃん。僕は23歳だけど大学4年生だ。なぜだか知っているだろう?」


「浪人…したんだよね」


「うん。僕は昔から聖教大学に憧れていた。勉学に励み続けた結果、教師からも受かるだろうと言われた。だが…」


ここで彼は一旦、言葉を切った。


「僕は落ちてしまった。一番ショックを受けたのは、そして努力したのは僕なのに父も母も氷月もみんな冷たかった。そんな中、今までの僕の頑張りを唯一、「よく今まで頑張った」と誉めてくれた人がいた。それが水香ちゃん、君だ」


「そうだったの…」


「そして1浪して僕は聖教に受かった。まわりの人は手のひらを返すように僕を誉めた」


「…」


「だが、結果しか見えてない奴らに誉められても嬉しくなかった。特に両親は、自分の名誉のために喜んでたって表情ですぐにわかったよ」


「…」


「だけど君はまるで自分のことのように喜んでくれた。僕は純粋に嬉しかった。味方になってくれてた。そして、いつしかそれが恋愛感情に発展してた」


「…」


「僕が君に恋愛感情を抱いていると気づいたのは3年前。それから接し方がわからなくなって、会えなかった。だから昨日は本当に驚いたよ」


「翔君、あたし…」
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