教壇と愛の狭間で~誰も知らない物語~
あー、言っちゃった。


青葉水香、16歳。


人生初のセリフを今、とうとう言っちゃいました。


顔が真っ赤になる。


しばらく会議室は沈黙に包まれていた。


やっぱりダメだったかな。


先生の気持ちを知ってるのに告白をしたことで、むしろ先生を困らせてしまったのかもしれない。


「すみません…」


「…青葉」


「はい」


「やめた方がいいぜ。こんな奴」


え?


何言ってるの?


「先生、それはどういう意味で?」


「俺なんかと付き合ったらお前が傷つくだけなんだよ」


先生はうつむいて悲しそうに言った。


「どうして?どうしてですか?」


「どうしてでもだ」


先生はまったく答えになってないことを言う。


「答えになってないじゃないですか」


「答える義務はない」


そう言われてズキッときた。


そんなの納得出来ない。


もしかして…。


「もしかして…あたしが嫌いなんですか?だからそう言うんですか?」


「違う」


先生は澄んだ目であたしを見る。


「好きな奴っていうのはまさしくお前だ。不本意にも一目惚れだ。だが…」


「?」


「だが、これでもお前は好きって言ってくれるか?」


「…っ!」


先生の見せたものを見て、あたしは何も言えなかった。
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