隣に住んでいるのは先生で……。
「綺麗だろ………この場所」
「えっ………」
沈む夕日の美しさに見とれながら先生がふと呟いた。
それから少しだけ間を置き、ゆっくりと話しだした。
「昔、ある人とここに来たことがあるんだ………。」
ある人………?
それは先生の彼女とか好きな人なのかな………?
そう思うだけで少し複雑に感じる。
「その人と今日みたいに夕日を眺めていたことを久しぶりに思い出して、急に来てみたくなったんだ………。なかなか、こんなに綺麗な眺めがいい所ないだろ」
確かに………
公園が夕焼けで赤く照らされている海浜公園はとても綺麗で数十分かけて連れて来て貰った甲斐があったと思った。
でも………
どうして私じゃない人との思い出の場所に、先生は私を連れてきたのだろう。
その思いが頭を駆け巡り、今の私には美しい景色が全く目に入らなかった。