『短編』甲子園より、愛をこめて
「お、おはよう」
平静を装いながらそのまま通り過ぎようとしたとき。
「待って待って」
彼はわたしの手首を掴んだ。
「な、なに?」
すると彼は制服のポケットから砂の入った小瓶を取り出し、わたしに見せた。
「これで、これから俺と一緒に勉強してもらえませんか?」
そう言って、その小瓶をわたしに手渡した。
「え、これって、まさか……」
はっと顔を上げる。
「うん。甲子園の砂。お近づきのしるしに」
「えっ……そんな大事なもの……」
うそ。
信じられない。