星降る夜


エポナとの蜜月で妊娠してしまった私は、「メイド」としてエトワール家で雇われたわ。


勿論、妊娠の事実を隠すことは出来ないから「旦那に捨てられ行き場を無くしていた妊婦を王様に助けて貰った」という風に脚色したけれど。


そんなある日、まだ幼かった頃のロワが私にこう言ったの。


「アンネさんは、おとーさまのこと、すき?」


・・・私はその言葉に、とても衝撃を受けたわ。
だって、私は事実エポナを愛していたんですもの……!


多分今思うと、あの言葉は幼い子どもであるが故の無垢な質問だったのよね。


国の民から畏れ、敬われる父を誇りに思っての言葉だったのでしょう。


・・・だけど、私は違った。
遂にこの小さなお姫様に妊娠がバレてしまったと思った私は、急いで荷物を纏めて城を出たわ。


……城を出て、行き場を無くした私を拾ってくれたのが、今のシャーロン王よ。


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