tearless【連載中】
『璃琥も知ってるから心配しなくていーよ?』



後ろに乗るのを躊躇う私にそう言って笑う雅貴先輩。



“知ってる?”



意味が分からず考え込んでいると、荷台を叩き“乗れ”と合図する。



『帰りながら話すから、ね?』

「はい…。重かったらすいません…」



とりあえず素直に跨る私。

それを確認すると、自転車はゆっくり走り出した。



『軽いじゃん』



風に乗って、明るい声と雅貴先輩の微かな香水の匂いが私に届く。

璃琥とはまた違う爽やかな香り。



「先輩…」

『ん?』

「…私って最低ですか?」



メールの事黙って真那斗に合った挙げ句に、不意打ちとはいえ、キスをしてしまった。

過去の事も話さないし、告白の返事もしないままただ璃琥に甘えてる…。



こんな私は最低ですか?



『“俺に隠し事出来ると思ってんの?”これ、璃琥からの伝言』

「伝言…?」

『俺さ…、璃琥に頼まれて葵ちゃんトコ行ったんだ』

「そーだったんですか…」



雅貴先輩にはいつも迷惑ばっか掛けちゃって、本当すいません…。


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