tearless【連載中】
こうして自分から璃琥の所に行くのは、初めてだ。

いつも呼び出されてたから。

3年生の痛い視線を感じながらも、何とか教室前にたどり着いた私。

ゆっくり顔を上げると、ドアのすぐ横に居るであろう璃琥に視線を向けた。



「………え?」



私の瞳に映し出されたのは、真那斗の彼女…だった人と話をする璃琥の姿。



―ドクン、ドクン...



急激に速まる鼓動。



何で?

何で璃琥と?

嫌な予感がした。



でもどうしたらいいか分からなくて、ただ金色の髪を見る事が精一杯で。



『あ、新条くん、後ろ…』



そんな私に気付いた真那斗の元カノが、ピンクの可愛い口を開く。

“あ?”そう言って後ろを振り返った璃琥は、私の姿を見つけると何も言わず、ただ見つめていた。



『葵ちゃんだっけ?真那斗の好きな…忘れられない人…だったかな?』



ニッコリと微笑む彼女。

…でも、瞳は決して笑ってなかった。

パッチリとした二重の丸い瞳。

その瞳の奧には、確かに憎悪が感じられる。


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