tearless【連載中】
『そういえば、名前言ってなかったよね。俺、誠二(せいじ)。裕樹とはもう長い付き合いで腐れ縁みたいなもん。確か、葵ちゃん…だよね?』

「…はい」

『ここ、俺のスタジオだから安心して。裕樹ももう一人のヤツが見てるから』



そう言ってベッドに腰掛けた誠二さんは、私の頬にそっと手を触れると“ごめん”ポツリと呟く。



「誠二さんが謝る事…」

『裕樹がこういう事するの初めてじゃないんだ』



私の言葉を遮る様に台詞を重ねた誠二さ
ん。

その口調は強く、少し驚いた。


もう数年前から同じ様な事をしていて、その度に誠二さんやその友達が止めに入っていたらしい。



「…私………、」

『なにも言わなくていいから。その顔が良くなったら帰ろう』




慣れた様子でテキパキ事を進める姿に、どれだけの回数を重ねてきたのかが伺える。


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