誘惑男子①~アブノーマルに抱きしめて~


「あんたが敬に手ぇ出すのは勝手だけどさ…

それなら、会社ではあたしの半径5メートル以内には近寄らないでよ」



「えっ?マジ…?」



「マジ。明日からはお昼も一人だからね」



女ばかりの退屈な職場で、一人のランチタイムは結構きつい。



たった二人の同期にとって、このまったりとした時間がかけがえのないひとときであることに気づかないほど理香はバカじゃない。



理香は冷めたコーヒーを一気に飲み干すと、吹っ切れたような笑顔で言った。



「わかった。彩には負けたよ。どうせ、エリートイケメン社員があたしらパートを相手にするわけないしさ」



「理香…」



「その代わり…ってわけじゃないんだけどさ…」



…うん?



さすがは元レディース総長。転んでもただでは起きない。



理香が切り出したその交換条件に、彩はその後三ヶ月苦しむことになる。





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