出会う前のキミに逢いたくて
けど、もちろん、そんな『悪夢』をやすやすと受け入れることなんて、できっこなかった。

その昔、オヤジと見た『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は最高にいい映画だったけど、当事者に自分がなるなんてごめんだよ。

孤独感がハンパない。

全人類の中で、未来から迷い込んだ人間は、たぶんオレひとりだろう。

周囲はどれも知った景色ばかりだけど、別の時間からやってきた者にしかわからない違和感が確かに存在していた。

こればっかりは同じ立場になってみないとわからかいと思う。

「おまえ、この時代の人間じゃないだろ?」

空気が責め立て、棘となってチクチクとオレの身体を刺すんだ。

だけど、もともとオレはのん気な性格だったりする。

常に深く物事を追求しない方針を打ち出している。

おかげで少し前の時代に馴染むのに、そう時間はかからなかった。

変な奴。

自分でもそう思う。
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