蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】

6.恩返し




翌日。

祖母の家を出た二人は、那須高原にある南丘牧場へと向かった。

いつも夏に那須に来ると、二人はこの牧場のソフトクリームを食べるのが定番になっている。

絢乃はソフトクリームの券売機で券を二枚買い、引換所でソフトクリームと交換した。


「はい、慧兄」

「ありがと~」


慧はソフトクリームを絢乃の手から受け取ると、にこりと笑った。

・・・心の底から嬉しそうな、その笑顔。

ちなみに、普段の食費や生活費は全て慧が出してくれている。

そのため、こういった旅行の際には絢乃が極力出すようにしているのだが・・・。

それでも、レンタカー代やガソリン代は慧が払っていることを考えると、やはり釣り合わない。


「・・・」


考えてみれば、この3年間、自分はほとんど金銭的負担を感じずに生活してきた。

けれどこれから一人暮らしを始めれば、生活費は全て自分で出すことになる。

・・・今までは、あまり考えてこなかったが・・・

経済的な自立から、まずは始めてもいいかもしれない。

絢乃はソフトクリームを舐めながら、口を開いた。


< 175 / 438 >

この作品をシェア

pagetop