蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】




絢乃はポカリのペットボトルを受けとり、少し身を起こそうとした。

・・・その瞬間。

はらり、とバスタオルが肌を滑り落ちた。


「・・・っ!」


胸元が露わになり、絢乃は反射的にカッと頬を染めた。

水着を着ているとはいえ、形はほぼブラと同じである。

うっ、と思った絢乃の前で、雅人の手がさっとバスタオルを掴み、もう一度胸元を隠すように絢乃の肩に掛ける。

その素早い気遣いに、絢乃は驚き息を飲んだ。


「さすがに目の毒だからな。・・・ほら、早く飲め」

「・・・はい・・・」


絢乃はほっと息をつき、ポカリを一口、また一口と飲んだ。

ポカリは絢乃の体に、じんわりと染みわたっていく。

それが雅人の優しさのような気がして、絢乃は胸の奥が熱くなるのを感じた。

───雅人は、紳士だ。


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