蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
・・・牡蠣?
・・・バター醤油?
絢乃はぽかんと口を開けた。
雅人も同じく、唖然と襖を見つめている。
二人の間に沈黙が漂った、その時。
「・・・あ、アヤ! おつかれ~」
襖がガラッと開き、慧が姿を現した。
その向こうには、卓海の姿もある。
部屋の真中にはテーブルが置かれ、その上に小さな七輪と海産物や野菜、肉などの食材が置かれている。
卓海は絢乃をちらりと見、唇の端でくすりと笑ったが、その後ろに雅人がいることに気付いた瞬間、すぐにいつもの華やかな笑顔に戻った。
「おや。ぐん・・・じゃなかった、北條さんもご一緒でしたか?」
「・・・秋月に一緒に来いと言われてな」
「さ、上がってください。慰労会をしましょう」