蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】




卓海はくすりと笑い、じーっと絢乃を見る。

絢乃はその視線に、全身がぴしっと凍るような気がした。

・・・ヤバイ。

しかしあれは不可抗力で、絢乃にはどうしようもなかった。

と内心で必死に言い訳している絢乃に、卓海はにこっと笑って言う。


『でね。今週末会えないから、かわりに明日、中庭で一緒にランチでもどうかなと思ってね』

『・・・は?』

『できたらお弁当とか作ってきて貰えると嬉しいな。女の子と中庭でランチするのって、オレの昔からの夢なんだよね~』


・・・いやアナタ、そんなに可愛い夢を持ってるようには到底見えないのですが・・・。

絢乃はしばらく唖然と卓海を見つめた後、はぁと肩を落とした。

つまり、弁当を作ってこいということらしい。

・・・どうやらこの鬼は、本当に自分で遊び倒すつもりのようだ。

目を付けられてしまった自分が心底呪わしい。

絢乃は内心でエグエグと泣きながら、コクリと頷いた・・・。


< 390 / 438 >

この作品をシェア

pagetop