蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
卓海はくすりと笑い、じーっと絢乃を見る。
絢乃はその視線に、全身がぴしっと凍るような気がした。
・・・ヤバイ。
しかしあれは不可抗力で、絢乃にはどうしようもなかった。
と内心で必死に言い訳している絢乃に、卓海はにこっと笑って言う。
『でね。今週末会えないから、かわりに明日、中庭で一緒にランチでもどうかなと思ってね』
『・・・は?』
『できたらお弁当とか作ってきて貰えると嬉しいな。女の子と中庭でランチするのって、オレの昔からの夢なんだよね~』
・・・いやアナタ、そんなに可愛い夢を持ってるようには到底見えないのですが・・・。
絢乃はしばらく唖然と卓海を見つめた後、はぁと肩を落とした。
つまり、弁当を作ってこいということらしい。
・・・どうやらこの鬼は、本当に自分で遊び倒すつもりのようだ。
目を付けられてしまった自分が心底呪わしい。
絢乃は内心でエグエグと泣きながら、コクリと頷いた・・・。