夏の日差しと狼のいろ。


それは雨風の激しい嵐の日だった。


がたがたと風が牢屋や建物を揺らした。


牢屋は外にほったらかしだから

雨をもろにうけ、少女の肩ほどまでのボサボサの髪はびっしょりだった。


少女は空を睨みつづける。


突然大きな音とともに岩石が山から落ちてきた。



 (土砂崩れ…!)



 少女はその瞬間牢屋の端にとびのいた。



 ――ガキンッ




岩石は少女の牢屋に落ちてきて、上手く少女につながれた鎖を切った。


大きな音に何事かと大人たちが出てくる。



少女は首についた 首輪もとらずに走り出した。


後ろからは銃声が聞こえた。


大人達は猟に使う銃をうってきたようだ。

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