夏の日差しと狼のいろ。
第5章▼命拾いと魔法使い

消息と足跡




ー…


パチパチと何かがはぜる音にツキは

ふっと目を覚ました。



はじめ、ぼんやりした視界が
しだいにハッキリとしてくる。



ツキはゆっくり頭をもたげた。


『……っ』



お腹がズキリと痛み
ツキは首を後ろに曲げて

傷口を振り向いた。




…?


そこでツキは
傷口に包帯が巻かれているのを

はじめて知った。



狼の姿のままなので
白い毛にはまだ血が
こびりついているが、

治療のおかげでもう

血は止まっている。





ツキはぐるりと今いる場所を
見渡した。



ごく普通の、部屋。



そんな感じだった。



今は夜なのか
外からは月や星しか見えない
冷たく暗い闇だ。



対照的に部屋は
暖炉があり、暖かく明るい。



何かがはぜる音は
暖炉の音だったらしい。





ツキは柔らかな
クッションの上にいた。

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