神様修行はじめます! 其の二
「とても、これから決戦とは思えない空気だな」

「そだねー。すっごい和やか」

「誰のせいだと思ってるんだ。この緊張感の無さを」


にこにこ笑うあたしに、門川君が呆れて溜め息をつく。


「なによー、あたしのせいだって言うの?」

「その通りだろう?」

「違うもんっ」

「いや違わぬ。小娘のお陰じゃよ」

「・・・絹糸?」

「ナオがそうじゃった。いつも戦いの前は大騒ぎしとったよ」


長いシッポをユラユラ揺らし、絹糸の目は遠くを見る。


「決戦前、永世はいつも緊張して神妙な顔をしておったものじゃよ・・・」



戦いにおいて、当主の娘としての責任は重大。

永世は、特に生真面目な性質じゃったからのぉ。

気負いすぎて、いつも自分を追い込んでおった。


そのたびに、ナオが永世をからかっておったわ。


『おい永世! なんだよその悲惨な顔は! これから死にに行くみたいだぞ!』


怒り出す永世に、ナオは豪快に笑っていつも同じ事を言った。


『俺たちは勝ちに行くんだよ! だからもっと威勢のいい顔しろよ!』

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