夏の月夜と狐のいろ。


そこに居たのはそう、リリィだった。


森で長い間、シアンのお付として傍に居てくれた、黒い狐のリリィ。

いつもノエルに会うためにリリィの目を盗んで出かけていっても優しく許してくれた。


ノエルに会っていたことは、知らなかったけど。


「なんで・・・!」


リリィに再開できた嬉しさと、いつもの優しい面影のないリリィへの不安がシアンの中に同時にこみ上げてきた。


リリィは体中から電流をほとばしらせ、ノエルを睨みつけている。

一瞬弱くなった電流も再び光を増した。



「うあっ・・・」


ノエルの手が、再びギリギリと震える。
さっきより勢力を増した電流はノエルだけを襲った。



近くにいるクロには見向きもしない。

シアンにも気がついていないようだった。



シアンは焦っていた。


このままじゃノエルが危ないわ!


「やめて!!リリィ!やめてよ!!」


シアンが思い切り叫ぶとリリィが唸り声をあげた。



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