花火よりも側にいて
(香織、今日は部活無いのかな?)


男女共にテニス部は校内でも野球部に次ぐ練習量の多さだ。もちろん夏休みは無しで朝から夕方まで練習に明け暮れているとか。


部活動が有るにしろ無いにしろ、今日のことを覚えていてくれて、応援のメールをくれる友人に有里は嬉しさを覚えた。


彼女にとっては些細なことだろうが、こうして与えられる勇気は、確実に有里の支えになっていることだろう。


そろそろ出ようと腰を上げた有里は、お母さんに「いってきまーす!」と声を掛けた。リビングから聞こえてくる「遅くなっちゃ駄目よ!」という声を聞き流して家を出る。


――早く、西田先輩に会いたい!


有里の思うことは、ただそれだけだった。





ちょうど待ち合わせ時間に着いた有里。


ここは中心街にある駅だ。電車を降りてすぐそこである待ち合わせ場所には浴衣を着たカップルや家族連れがたくさんいた。


しばらく行き交う人々をぼんやりと眺めながら待っていたのだが、待ち合わせ時間のになっても来ない。


西田先輩に何かあったのかと心配し始めた有里は、ちらちらと腕時計に目を落とす回数が次第に増えていく。


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