とあるバイトの子のとある恋物語



伊藤ちゃんは何個か袋を運ぶと、まだせっせと袋を詰めている藤野ちゃんまで手伝いはじめた。


「あ、すみません、ありがとうございます」


「いえ」


藤野ちゃんがにこっとお礼を言えば、伊藤ちゃんも少し照れたように笑う。


……くすぐったい、ピュアな雰囲気が漂い始めた。


「そういえば、先日またうちの母がお世話に……すみません」


「謝らないでください。伊藤さんのお母さんと会ったの久しぶりだったので、すごく嬉しかったですよ」


「そんなこと言ってくれるの藤野さんだけですよー」


そんな会話をしながら、時折、


「あ、お豆腐はビニールに入れてあげてください。あと、暑いから保存用の氷も」


「わかりました!」


藤野ちゃんの指示に、素直に動く伊藤ちゃん。


なんだか……



「こうしてると、ふたりとも夫婦みたいだね〜♪」



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