RUBY EYE
昔から、静貴はよくわからない人だった。
人当たりの良さそうな笑顔を浮かべながらも、何を考えているのかわからない。
母親の梨瀬は、あんなにもわかりやすい性格をしているのに。
どちらかと言えば、叔父の伊織に似ていると思う。
「綾織くん」
「どうかしたのか?」
部屋に顔を出した月野を見て、十夜は考えを中断した。
「数学の課題、もうやった? 最後の一問がわからなくて」
「あぁ、教えてやる」
月野は笑顔を浮かべて、床に座った。
「・・・・・・最近、鷹斗とよく話してるな」
「あ、うん」
ノートを開きながら、月野は視線を逸らす。
鷹斗からは、あの子―――桜太について教えてもらっている。
今は何もないが、もうすぐしたら、処分が決まるかもしれないと言っていた。
秩序を乱し、誇りを汚す者は、たとえ幼かったとしても、罰を免れたりはしないそうだ。