RUBY EYE

昔から、静貴はよくわからない人だった。

人当たりの良さそうな笑顔を浮かべながらも、何を考えているのかわからない。

母親の梨瀬は、あんなにもわかりやすい性格をしているのに。

どちらかと言えば、叔父の伊織に似ていると思う。


「綾織くん」

「どうかしたのか?」


部屋に顔を出した月野を見て、十夜は考えを中断した。


「数学の課題、もうやった? 最後の一問がわからなくて」

「あぁ、教えてやる」


月野は笑顔を浮かべて、床に座った。


「・・・・・・最近、鷹斗とよく話してるな」

「あ、うん」


ノートを開きながら、月野は視線を逸らす。


鷹斗からは、あの子―――桜太について教えてもらっている。

今は何もないが、もうすぐしたら、処分が決まるかもしれないと言っていた。

秩序を乱し、誇りを汚す者は、たとえ幼かったとしても、罰を免れたりはしないそうだ。


< 162 / 403 >

この作品をシェア

pagetop