RUBY EYE
『そうだよ。覚えていてくれて、嬉しいな』
優しい声に、月野は安堵した。
「あの、綾織くんは帰ってなくて―――」
『知ってるよ』
穏やかな声は、急に冷酷さを帯びる。
微かな狂気を滲ませて。
「あの・・・・・・」
『十夜くんは今、とても危険な状態なんだ』
「静貴さん?」
話の意図が、掴みにくい。
月野は、先程まで感じていた安堵が、いつしか消えていることに、まだ気づいていない。
『助けたいよね?』
「・・・・・・はい」
『じゃあ、おいで』
「・・・・・・どこへ、ですか?」
静貴の声は、最後まで穏やかだった。
それが、現実味を与えてくれず、尚且つ、恐怖を倍増させる。
「森の奥の教会・・・・・・?」
窓の外、紅玉館の周りには生い茂る緑がある。
その奥にある教会へ来てほしい、と静貴は言う。
―――コンコン。
「月野ちゃん? 入るわね?」