RUBY EYE

驚かせたかったらしい椿は、不満げだ。


「もうちょっと、可愛らしい反応が欲しいなぁ」

「どうして、私に言うんでしょう? あんなこと」


月野の言葉に、椿は真面目な顔になる。


「力の強いヴァンパイアほど、簡単に死ねなくなるのよ」

「簡単に死ねない?」

「そう。優れた身体能力と、驚異的な治癒力。これが、ヴァンパイアが与えられる恩恵だわ」


紅茶を机に置き、椿は窓の外を見る。


「ナイフで自分を切り付けても死ぬことができないのは、とても辛いわ。でも、月野ちゃん―――ダンピールなら、殺せるのよ」


驚異的な治癒力も、ダンピールの前では無力だと言う。

治らないのではなく、常人と同じスピードで癒えていく傷。

それはつまり、深手を負わせれば死ねる、ということだ。


「美鶴様は、最愛の夫君を亡くされて以来、生きることに意味を見出だせなくなってしまわれたの」


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