手をつなごう
いつからか、人を軽蔑するようになった。
あたしは特別なんだと、思い込んでいた。

そんなあたしだから
どこに行っても一人だった。
友達や仲間がいたらまた違ったのかもしれないけど
あたしはなかなか友達ができなかった。
学校ではよく仲間外れにされたし
無視されていた。
本当は仲良くなりたいくせに、
あたしは特別でこんな奴らとは違う、
そう思って強がった。
あたしは一人でも平気、だと。

そして家に帰れば、
また怒鳴られて殴られて
夜にベッドで一人で泣く。

そんな毎日の中で、
ケイと出会った。

ケイは、周りとは違う。
当時は有名な不良グループのリーダーだった。
名前は知っていたし
ケイたちのなわばりだと言われた場所に
行くと犯され殺される、なんて噂もあったほど。

あたしは家にいたくなくて、
その夜、ぶらぶら歩いていた。
田舎だったから、何もない真っ暗な場所で
気づいたら不良グループに囲まれていた。

数人の男たちがあたしの腕を掴み、足を持ち上げた
一瞬の出来事で、恐怖で声も出なかった。
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