エレーナ再びそれぞれの想い
　エレーナは、プリシラと共に人間界へ降り立った。
エレーナにとっては、久しぶりの人間界。
ふたりがたどり着いた場所は、塀に囲まれた広大な敷地に、何軒もの立派な家が建ち並んでいる。
その中心部にある、一番大きくて立派な邸宅の前にふたりは着いた。　
「大きい家ですね」
プリシラが物珍しそうに周囲を見渡す。
プリシラの契約者となる人物は、色白、サラサラの髪、きゃしゃな体つきをした少年だ。
彼の名は、白川シュウ。
「初めてお目にかかります、ご主人様！」
プリシラが、シュウに挨拶をする。
「ぼっ、僕はご主人様じゃないですよ」
突然プリシラにご主人様と呼ばれ、慌てて訂正させようとするシュウ。
「プリシラさん、私達天使と、契約者は対等ですよ」
「でも、私には契約者はご主人様です」
プリシラは、エレーナの言葉に耳を貸さない。
どうやらプリシラは、契約者を主と思いこんでいるようだ。
「君がそう言いたいのなら別に構わないですけどね」
シュウは苦笑。
その時エレーナは、シュウの瞳の奥に、何か愁い帯びたものを感じた。
そしてさらに、シュウから何か今までに感じた事のないような不思議なものを強く感じた。
「この波動は！」

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