エレーナ再びそれぞれの想い
やがて文化祭が終了し、後かたずけが済むと、シュウは文化祭の作品をエレーナの元へ持って行った。
「それ確か、販売して、部活動のの費用にするんじゃなかったですか?」
エレーナが聞くと、
「これは最初から売るつもりはありませんでした」
「でもどうして2個あるんですか? 大切な人へってタイトルだからですか?」
「これ、ひとつはエレーナさんの分です。もうひとつは僕の。これでお揃いですね」
シュウはカップをふたつ、持って見せる。
「私にですか? でもどうして、私はシュウ君の作品壊したのに」
シュウはこう言った。
「エレーナさんはカップを割ったこと、きっとまだ気にしていると思って。
だから、これで美味しい物でも飲んで元気になって下さい。
いつもお世話になっているエレーナさんへ、ありがとう、そしてこれからも宜しくお願いしますとの気持ちを込めて、僕からのプレゼントです」
エレーナはシュウからカップを受け取った。
「今度は落とさないで下さいね」
「あっ、ありがとうございます」
エレーナは涙を流した。
それは、最高に美しい嬉し涙であった。
「こっ、こちらこそ、宜しくお願いします」
「それから……」
そう言うと、シュウはもうひとつ、別なカップを取り出した。
「これはプリシラさんの分です」
「私にもあるんですか?」
「プリシラさんには、文化祭に間に合うよう、窯焼きを手伝ってもらいましたから、そのお礼です」
「ありがとうございます」 
プリシラはシュウに質問した。
「それにしても、ご主人様は何時の間に、もうひとつ作ったんですか?」
「気づきませんでした? 窯から出し入れするときに」
「そう言えば3つあったような……」
プリシラはシュウに言われて思い出してみた。
「最初からいろいろ作っていたんです」
「そうだったんですか」
3人にとって最高の文化祭になったに違いない。

 
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