第19章
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 それから二日後、いつも通り午前十時に岩原の自宅前に行った。


 昨夜も宴会だったようである。


 午後十一時過ぎまで待たされ、酒臭い岩原が車に乗り込んできたのを覚えていた。


 あの赤ら顔が今、後部座席に乗り込んでいる男の本性である。


 俺も気に掛けていた。


 また何かやらかすんじゃないかと。


 実際、岩原はいつものようにノートパソコンを開き、キーを叩き続けていた。


 新党の同志議員たちにメールを送るのと同時に、スマホなどでいろんな部署と連絡を取り合う。


 俺も思っていた。


 陰の男だなと。


 裏方に徹すれば相当な威力を発揮するだろうに、なぜ与党を抜けて新党などを結成したのだろうか……?
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