第24章
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 それから数日後、十一月の半ば過ぎに突如衆議院が解散された。


 川浪が持っていた解散カードを切ったのである。


 本会議場に居合わせた岩原も他の議員たちと一緒に万歳三唱し、議場を後にした。


 これから来月中旬の投開票日まで、与野党が熾烈な戦いをするのである。


 お抱え運転手の俺の方は仕事が休みになるのだ。


 岩原が全国行脚するつもりでいるようだし……。


 疑惑が晴れないまま、選挙戦に突入するのだった。


 二億円の事務所経費問題は宙に浮いたままだ。


 一応記者会見はしたとしても、国民が納得するとは到底思えない。


 それに岩原の胸の内がよく分からなかった。


 だが、これ幸いと思っているだろう。


 川浪が解散カードを切ったことに対して、である。
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