第27章
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 有権者の反応がいまいち鈍いのが、今回の選挙だ。


 何せ新民・社自の二大政党に加え、岩原の新党や首長連合など、多数の政党が乱立しているからである。


 俺も迷うことがあった。


 新民党に政権に残ってもらいたかったのだし、社自党が選挙で単独過半数を確保できなかった場合、大連立を仕掛けてくるのは分かっていたからだ。
 

 そういったことは長年、政治家たちを見ていれば分かる。


 永田町には数えきれないぐらい行っていた。


 それだけずっと岩原の運転手をやっていたからだ。


 気に掛かることが多いわけじゃないにしても、選挙戦があり、その後、新しい政権の枠組みが決まる。


 それがどうなるかが、一番の気掛かりだった。


 場合によっては、仕える人間が変わることもある。
 

 もちろん政治家のお抱え運転手など、代わりはいくらでもいるのだが……。
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