第11章
     11
 永田町の議員会館で岩原や藤井同席の下、新民・社自両党の議員のうち、新党への参加予定者が集まっているものと思われる。


 これはまさに政界におけるクーデターだった。


 岩原と藤井が画策し、理念をほぼ共通のものにすり合わせ、電撃的に新党を結成するのである。


 確かに永田町ではこういったことが過去に数度あった。


 俺も知っている。


 昔から大政党を離党し、新党や別会派などを作った人間たちは皆失敗しているということを、だ。


 ずっとそういったことの繰り返しで政界は回っているのだった。


 確かに一定の人数が集まれば、国政において発言権も出てくる。


 それに岩原の抱え込む二億円の事務所経費疑惑や、新たに浮上してきた愛人疑惑なども何かと不都合だったが、メディアが騒がなければ、水に流れるようにして消え去っていくものと思われた。


 あの男の持ついろんなネックは新党結成で全て壊れるものと考えられる。
< 66 / 328 >

この作品をシェア

pagetop