死蜂
葵は大きな勘違いをしていた。

この蜂…『死蜂』は確かに優れた人間を襲う。

しかし、葵が考える『優れている事』と死蜂が考える『優れている事』は違うのだ。

考えてみるといい。

社長令嬢である事、可愛らしい事、勉強ができる事。

そんな事は、死蜂にとっては何の意味もない。

優れている事の判断基準にならないのだ。

死蜂の判断基準。

それは『種を存続させる為に、どれだけ強い闘争本能を持ち、どれだけ異性に執着しているか』なのだ。

その点、葵は実に『優れていた』。

既に恭平と結ばれていた美晴を、死蜂達の餌食にしてでも蹴落とそうとした。

その邪なまでの闘争本能を、死蜂達は嗅ぎ取ったのだ。

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