夜明け前


さくに彼女。


…なんだろう。


置いていかれるような、不安感。


生まれる前から一番近くにいた双子の兄。


泣くのも笑うのも一緒。


何をするにも二人一緒だった。


一つ違うのは、双子であってもさくが兄だということ。


数分違いで産まれただけなのに、小さな頃からさくはお兄ちゃんで、いつも私を守ってくれた。


甘やかすし優しいけれど、厳しいところもある兄。


私はさくに頼りきって生きてきたから。


…だから、ちょっと動揺している自分がいて。


いつかはさくにも大切な人が出来て、私から離れてく。


寂しいけれど、それは理解しているつもりだし、覚悟もある。


…だけど。


もうちょっと後だと思ってたんだ。


普通なのか?


私の予想より遥かに早かった。


私がそういうことに疎いのは、自分でも自覚してるけど。


周りの女の子たちが好きな人の話をしてるのを、聞いてもよくわからないし。


それに、…さくからなんにも聞いてない。


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