夜明け前


―それからはあっという間だった。


姉様に再会したその日、日付が変わる直前に姉様は亡くなった。


仕事で海外へ出ている両親に連絡をしたものの、間に合うはずがなく、話を聞いた母親はパニックになり、父親もまた会わす顔が無いと取り乱した。


―きっと、朔乃と珠花は祖父母に良い感情を持ってはいないだろう。


当たり前の感情だと思う。


けれど俺は、父も母も、あれから数えきれない程後悔し、涙していたのを傍で見てきた。


親子だから、素直になれない。意地を張ってしまう。


親子だから、分かって欲しい。一番の理解者であって欲しい。


『後悔だけはしたくない』


そう言って家を出た姉は、亡くなる前にこう言っていた。


『後悔はしていない。…だけど、もっと素直になればよかったとは思うの。親になって初めて、父様と母様の気持ちが少し分かった気がする』


今になって思うの。遅いよね。


そう悲しそうに微笑む姿は、家を出る時に見た姿と重なった。


< 75 / 145 >

この作品をシェア

pagetop