夜明け前
「…なにより、一緒にいたいんだ」
小さな手で、ギュッと力いっぱい抱き着いて来た、壊れてしまいそうな小さな小さな存在。
柔らかくて、温かくて、…愛しいと思った。
その気持ちは今も変わらない。
「だから、一緒に暮らしたい」
「「………」」
そう言って二人を見れば、驚いてこちらを見ている珠花と、同じく目を見開く朔乃。
最初に口を開いたのは、珠花の方だった。
「でも、…母様の、御両親は?…一度も顔を見せないくらい、怒ってるんじゃないの?」
「うん、…俺達のこと嫌ってるとしか思えない」
そう言って表情を曇らせて、俯く二人。
そう思わせても仕方の無いことをしたと、痛いくらいに分かってる。
娘の最期に会いに来ず、一度も顔を見せなかった祖父母。
産まれてからも、会う以前の問題で、声は愚か、…存在すら聞いたことが無かっただろう。
「…そうだな。そのこと、ちゃんと話さないとな」
二人の心に影を落として来た、問題について。