わたるんといっしょ


「天神学園高等部最悪の三日間。あの惨事はそう名付けられたみたいですけど、龍太郎くんたちのおかげで大団円となりましたし。――僕が出る幕でもありませんでしたね」


自虐的に言う渉にミカンを再度食べさせる。


「わたるんはんの“幕”は、僕がしっかりと頭に焼き付けておきますさかい。無意味やないよ。頑張ったわたるんはんにハグしたい気持ちになるわぁ」


「秋月くんも、冬月くんみたいなことを言いますね」


「双子やからねぇ」


意味深なことをいたずらっ子のように笑って言う秋月には、またあの言葉を。


自身の幸せを、甘酸っぱいミカンと共に噛み締めた。


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