黄昏バラッド


色々と、か。

それはなに?って聞きたいけど、聞いたところで私はなんの手助けにもなれない。


「でももう止めた。考えても考えても答えは出なかったから」

サクは黄昏色の空を見上げた。

その顔はちょっとだけ吹っ切れたように見えて、私の後ろでは噴水の音がうるさく響いている。


私は考えて考えて答えは出たのかな。

いや、まだきっとたどり着けていない。

自分とサクを重ねながら、私はぼんやりと下を向くだけ。


「だけど、ちょっとやっぱり落ち込んでたから、ノラとこの場所に来たかったんだ」

サクがニコリと笑って私の顔を見る。

……私とこの場所に?


「来たかったっていつも来てるでしょ」

また可愛くない言い方。本当に自分が嫌になる。


「はは、うん。そうだね。でも今日はただの散歩。たまにはいいでしょ?」

サクの空気。サクの話し方。サクの隣はやっぱりどこか安心する。それでまた甘えそうになる。


「ここはノラに会った場所だから。やっぱりノラと来なきゃ意味ないしね」

私はギュッと自分の服を掴んだ。

ダメ、泣いたらダメ。
また泣き虫って言われちゃう。
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