黄昏バラッド


地元から遠く離れたこの街はとても大きくて、人もお祭りみたいに多い。どうしてこの街に来たのかは分からない。

道も知らない、知り合いもいないこの街に不思議と恐怖なんてなかった。


新かさいの駅を過ぎて暫く歩くと〝ある音〟が耳に入った。【中央公園】と書かれた場所から聞こえてきたのは音楽。

私は導かれるように無意識に公園の中へと入っていった。


夜の公園だというのに、ここにもまた人が沢山いる。だけどうるさいだけだった駅前とは違ってバカ騒ぎしてる人はひとりもいない。

みんな地べたに座り、ストリートミュージシャンといわれる人の歌に聞き入ってるようだった。


しかも歌っているのはひとりじゃない。この中央公園には自分のテリトリーで好きな歌を好きなように歌っている人たちがあちらこちらにいた。

数えきれない人に囲まれてる人。誰ひとり聞いていないのに自分の世界に入ってる人。

プロでも有名人でもないけど、そこには人気のあるなしがはっきり見えた。
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