【完】運命は罠と共に
「奈々が仕事が好きなことも分かってる。だから、結婚しても仕事は続けて欲しいと思ってる。俺との将来のことも考えてくれないか?」


「まだ漠然としてるけど、ちゃんと将来のことも考えてるよ。けど、仕事も中途半端な今の状況で結婚には踏み切れなくて……」


「返事は今すぐじゃなくていいから、しっかり考えて答えだして。奈々の気持ちが追いつくまで、俺はいつまででも待つから」


はっきりと答えられない私に、優しく言ってくれた。


今すぐじゃなくてもいいか……。


もう少し自分に自信がついて、あの話もちゃんとしてから、彼との将来を明確にしていきたいな。


この中途半端な状態で結婚するのは、絶対に良くない様な気がするから。


洋輔さんの言葉に甘えてもいいかな?


「ありがとう。仕事にももう少し集中したいし、気持ちが整理できるまで待っててもらえる?気持ちが決まったら、ちゃんと自分から言うから、もう少しだけ時間をください」


優しく微笑みながら頷いて、そして、優しく私の頭を撫でてくれている手に、とても安心感を覚えた。


私の問題なのに、こんなにも甘えさせられていいのかな?


でも、待ってくれるって言ってくれたから、彼の隣に立っても大丈夫って思える自分になれるように、仕事にも洋輔さんにもちゃんと向き合っていこう。


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