【完】運命は罠と共に
次に目が覚めると、洋輔さんに抱きしめられていた。


洋輔さんと目が合うと、何か考えていたらしく少し難しい顔をしていた。


「もしかして、あれのこと気にして俺のプロポーズ悩んでたとか言わないよね」


彼の視線を追うと、趣味スペースのクローゼットが目に映った。


あれって、あれだよね?



「……」


それだけではないけど、それも少しはある。


けど、そんなこと言えない。


「……マジかよ。そんな理由で?」


「さすがに、それだけじゃないよ。仕事ともっと向き合いたかったのも事実だし。でも、それもちょっとあったりする…かも?」


「何で疑問形なんだよ。あのさ、俺だって何でOKくれないのか悩んだんだぞ?正直言って奈々がアニメとか相当好きなの知ってた。その上でのプロポーズだったのに、そんなことで躊躇われてたのかと思うと…」


私の隠していたことが、洋輔さんを悩ませていたと思うと、申し訳ないとしか言えない。



「……ごめんなさい」


他の言葉は見つからなかった。


「もういいけどな。可愛い奈々も見れたことだし」


「……///そんなの知らない///」


先ほどまでの行為を思い出して、恥ずかしくなった。


顔どころか、全身が熱い。


そんな姿を見られたくなくて、可愛くないけれどくるりと向きを変えて、洋輔さんに背を向けてしまった。


「奈々はどう思ってるか知らないけど、そういう行動は俺を煽るだけだって、そろそろ覚えてくれる?」


言うや否や後ろから抱きしめられた。
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