私を壊して そしてキスして

また悪い癖のネガティブ思考が私を飲み込む。

けれど……やっぱり三友商事の仕事はとても楽しかったし、やりがいもあって、私自身も成長できたはずだ。

そんな風に思い直したのは、翔梧さんが私を肯定し続けてくれたおかげだ。



なんとなく疲れてしまった私は、その晩は親子丼とお味噌汁という少し手抜きにすることにした。

そんなふうに、どこかで手を抜くということがうまくできるようになったのも、きっと彼のおかげなのだと思う。


「ただいま」

「おかえりなさい」

「んー、いい匂い」


玄関を開けると、そんなことを言われて申し訳なくなる。
だって、手抜き……だし。


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