私を壊して そしてキスして

二人で向き合ってとる食事は、やっぱりおいしい。

少しずつしか食べられないけれど、彼が大きな口でどんどん食べてくれると、自分ももう少し食べてみようと思えるから不思議。


もうすっかり、トイレに駆け込むことのなくなった私。
少しずつ自分で食事の量もコントロールできるようになってきたと思う。


「菜那。お前、やっぱり仕事してみるか?」

「えっ?」


食事が終わって、いつものように彼と肩を並べて皿を洗い、食後のコーヒーを飲んでいた時、突然そう話しかけられる。


彼がそんなことを言い出すなんてあまりに意外で、あっけにとられてしまった。
どちらかというと、私が働くのには時期尚早だと言っていたから。



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