私を壊して そしてキスして

出社した私を出迎えてくれたのは、平井さんだった。

小さい会社だから、社長の椅子にふんぞり返る時間もないなんて言って。

だけど、彼も翔梧さんと同じように、自分でぐいぐい仕事をしていくタイプなんだとそう思う。


「ここはね、君がいた会社とは全然違うから。
小さいから俺も営業に出るし、一緒に知恵も絞る。
社長だのなんだのっていう垣根は一切ない。
文句があればいつでも聞くし、その代り、こっちも言わせてもらう。

だから、委縮しないで、ドンドン能力を発揮してほしい」


大企業の片隅で仕事をしてきた私は、平井さんの言葉に驚いたけれど、何だかとてもやりがいのありそうな会社だと思った。



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