私を壊して そしてキスして

「恭子さん、いよいよですね」

「そうだわ。こんなに呑んだくれてちゃ、ドレス着れなくなっちゃう」


といいつつも、またビールを口にしている。本当に好きなのだ。
こんな姿、会社では到底想像できない。

強いとはいえ、ほんの少し潤んだ瞳が、恭子さんの色気を際立たせる。
男勝りの仕事姿に隠れた彼女の魅力に、平井さんはメロメロなんだと思う。


同じ時期に結婚という選択をした私たちは、会社の休憩の時も式や旅行の話で盛り上がっていた。
自分のことより、恭子さんの話を聞くのが楽しかったくらいだ。


平井さんは恭子さんの夢を叶えて、旅行中に海外挙式をする事になったのだ。
本当は出席したいのだけれど、社員がごっそり会社を休むわけにはいかない。


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