私を壊して そしてキスして

「えっ……えっと……」


慌てる平井さんとさりげなく視線を逸らせた翔梧さん。
恭子さんの前では、いい男二人も肩身が狭いようで。


「何人?」

「二人……」


思わず正直に答えた平井さんを、クスッと翔梧さんが笑う。


「それで、そっちは?」

「俺のことはいいだろ!」


突然振られた翔梧さんは、飲もうとしていたビールをテーブルに置いて首を振る。


「ダーメ。菜那だって知りたいって。ね、菜那」

「えっ……はい」


掌で転がされている二人を気の毒に思いながらも、おかしくてたまらない。



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