大地主と大魔女の娘


 おかみさん達が、何故そのような考えに至ったのか謎だった。

 地主様と、ただの貧しい村娘の私が並ぶと、その差が際立つと思うのだが……。

 やはり、彼の側を離れて正解だったと強く確信した。


 地主様のお友達の方も、甚(はなは)だしい誤解をされていたようだったもの。

 あれはご友人が地主様をからかう話のタネなのだと解釈していた。

 しかしどうやら、彼の側にたとえ貧相であろうとも年若い娘がいれば、他人はそのように見てしまうものらしい。


 初対面のおかみさん達ですら、そのような見方をするのだ。

 世間というものは全くもって理解できないし、難しい。

 でも、そういうものなのかもしれない。

 私が世間に疎いだけなんだと思う。


 それはさぞや地主様の体面を傷つける事だろう。

 地主様がお怒りになられる訳だ。

 全力で否定されたのも頷ける。


「彼にお金を返さなければならないのですが、私はお金がありません。ですから、働かなくてはなりません。足りないお金の分、役に立てといわれたのに。でも私は何もうまく出来なくて、面倒だとよく言われました。だから出てきました」


「ええと。お嬢ちゃん。ちょっとばかり、はしょり過ぎじゃないかな~?」


「そうそう! その結果に至るまでの経緯をおばちゃんたちに話して聞かせて!」

 これ以上、うまく説明できなかった。

 今まで話したそれが全てだ。

 それでも決定的な何かが足りないらしい。

 必死で言葉を探った。



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