殆ど無意識に歩いて、

和は いつの間にか、中庭に辿り着いていた。


ショックなのか何なのか、

心の中は ぐちゃぐちゃ だった。




案の定 中庭に凛の姿は無く、

和は憶測ばかりの先程の会話に、嫌でも真実味を感じた。








「…和ちゃん?」




蓮の声がして、和は声がする方を、見た。






「…せんぱい?」




「どうしたの?


大丈夫?」




やっと声を絞り出すと、蓮が和の目を覗き込んで、言った。




いつも優しい蓮の声が、心に沁み込んで…、


…気付いたら和は、泣き出していた。





< 29 / 178 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop