花
殆ど無意識に歩いて、
和は いつの間にか、中庭に辿り着いていた。
ショックなのか何なのか、
心の中は ぐちゃぐちゃ だった。
案の定 中庭に凛の姿は無く、
和は憶測ばかりの先程の会話に、嫌でも真実味を感じた。
「…和ちゃん?」
蓮の声がして、和は声がする方を、見た。
「…せんぱい?」
「どうしたの?
大丈夫?」
やっと声を絞り出すと、蓮が和の目を覗き込んで、言った。
いつも優しい蓮の声が、心に沁み込んで…、
…気付いたら和は、泣き出していた。