簡単に好きに なるから、

簡単に嫌いに なられる。


自分の中身を、見られて いない。


君は本当に それで いいの……?






―そんな時、私の悪い予感は的中した。




…私は君のファンじゃ、ない。


恋じゃ、ない。


愛でも、ない。


でも何故か耐えられなくて…。




気付いたら私は、

手の平を返したように君の悪口を意気揚々と話す女子達に、

強い口調で反論していた。




あの時の感情に名前を付ける事は、今でも できない けれど…

でも君は そんな人じゃ ないんだ って、一生懸命 否定した時、

偶然 君が通り掛かって、

悪口を言っていた人達が逃げて行って、




「庇ってくれて、ありがとう」




穏やかな、柔らかい声で君が言った。


本当は君は泣きたかったんじゃないか と 思うのに、




「ありがとう」




大きくて可愛らしい瞳で俯く私の顔を覗き込んで、

君は微笑んだ。




その女の子みたいな可愛らしい容姿には そぐわない、低くて よく通る声で、

その容姿には ぴったりの、明るく天真爛漫な笑顔で、

本当に″ありがとう″って、思ってくれてるのが伝わって来る…声音で。






「ホントに、ありがとね」




真っ直ぐに私の目を見て そう言った、君。





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