花
そうして また、一つ知らなかった事を知る度に、
どんどん嵌まって行く自分に、和は気付いた。
以前に比べると、
貴史も少しずつ自分の事を話してくれるように なってきた気がして、
和は、もっと貴史の事を知りたい、とも思った。
しかし、和が そう思い始めたのと、
貴史が″曲をくれる″ と言ったのが同じ日だったのは、皮肉だった。
和は これから もっと貴史の事が知りたいと思ったが、
貴史が何処かに行ってしまうのでは ないか という不安を、
消す事は、できなかった。